アクセサリー

Qi2は下位互換?QiとMagSafeの違いと15W/25W

公開日: 著者: 高橋 誠一
アクセサリー

Qi2は下位互換?QiとMagSafeの違いと15W/25W

Qi2は、WPCが2023年に策定したワイヤレス充電の業界標準で、MagSafeのマグネット位置合わせ技術を取り込んだ規格です。MagSafeがApple独自でiOS専用なのに対し、Qi2はiOSとAndroidの両方で使えるようになり、まず「Qi2は下位互換か」という疑問にはYesと答えられます。

Qi2は、WPCが2023年に策定したワイヤレス充電の業界標準で、MagSafeのマグネット位置合わせ技術を取り込んだ規格です。
MagSafeがApple独自でiOS専用なのに対し、Qi2はiOSとAndroidの両方で使えるようになり、まず「Qi2は下位互換か」という疑問にはYesと答えられます。
手持ちのQi充電器やQi専用端末はそのまま使えますが、互換性が保証するのは充電の成立までで、実際に何Wで充電されるかは別問題です。
店頭で「Qi2対応」と大きく書かれた箱を裏返したときに出力条件の但し書きが小さく並んでいて、その場で自分の端末が何Wになるのか判断しづらかった経験こそ、本稿が組み合わせのマトリクスに踏み込む理由になります。

結論:Qi2は下位互換あり。ただし出力は組み合わせで決まる

Qi2は下位互換を持つので、Qi2充電器にQi専用端末を置いても充電自体は成立します。
手持ちのQi機器やQi2機器が無駄になりにくいのは安心材料ですが、速さまでそのまま引き継がれるわけではありません。
実際の出力は端末、充電器、電源アダプタの3点で決まり、どれか1つが弱いとそこで頭打ちになります。

こんな人はこれ:端末別の早見表

端末タイプ買うべき充電器想定出力買い替え要否
iPhone 16/17系Qi2 25W対応充電器+USB-C PD 30W以上アダプタ最大25W端末側が対応済みなら、充電器とアダプタの見直しが効果的
iPhone 15以前既存のMagSafe/Qi対応品で十分。Qi2 25Wに替えても端末側上限で止まる15W以下、条件次第で5W置き換え効果は小さい
Qi2対応AndroidQi2 25W対応充電器+適合アダプタ最大25W端末と充電器の両方をそろえる価値がある
Qi2 Ready AndroidQi2 Ready認証のマグネットリングケース併用を前提にしたQi2対応環境最大15Wケース込みで環境を作るなら意味がある

早見表を作ると、端末は最新なのに充電器とアダプタだけ数年前のまま、という中途半端な構成が見えやすくなります。
カタログ上は新しい規格に触れていても、実際には電源側がボトルネックで、そこを替えないと体感は動きません。
筆者も「Qi2充電器を買えば速くなる」と考えて買い替えたことがありますが、アダプタが古いままだと変化が乏しく、原因は充電器ではなく供給側にありました。

下位互換は『充電できる』であって『速い』ではない

Qi2はQiとの下位互換を持つ設計で、Qi2 25Wでも既存のQi・Qi2機器をそのまま使えます。
ここはまず安心してよい部分です。
規格が新しくなっても、手持ち資産を切り捨てる前提ではありません。

ただし、下位互換が保証するのは接続と充電の成立であって、速度の維持ではありません。
上位規格の充電器に下位規格の端末を置けば、端末側の上限に合わせて動作します。
たとえばQi2充電器を買っても、端末がQi専用ならEPP15WかBPP5Wに落ちますし、iPhoneでも非MagSafe・非Qi2のQi充電器では15W表記でも7.5Wに制限されます。
『つながる』と『速い』は別物です。

出力を決める3つの要素

実出力は、端末側が対応するプロファイル、充電器側が取得している認証、そして電源アダプタの供給能力の掛け算で決まります。
端末はMPP・EPP・BPPのどこまで話が通るかを持ち、充電器はQi2 25W・Qi2・EPP・BPPのどこまで認証されているかで上限が決まる。
そこにUSB-C PD 30W以上のような電源条件が乗ってきます。

Qi2 25Wは2025年4月に発表され、最適条件では約30分で50%充電に到達しますが、それはQi2 25W認証充電器とUSB-C PD 30W以上のアダプタを組み合わせた場合です。
MPPは360kHzで動き、BPP/EPPの87kHz〜205kHzよりデータ伝送が4倍速いので、位置合わせが安定しやすく損失も抑えられます。
逆に、端末がMPPでも充電器が旧EPPならそこで天井ができる。
端末、充電器、電源のうち最も弱い部分が、そのまま実力になります。

買い替え判断は単純です。
現状で不満がなく、端末がQi専用なら、Qi2充電器へ替えても効果はほぼありません。
端末がMPP内蔵で、いま使っている充電器が旧EPPなら、更新の価値が最も大きい。
そういう順番で考えると迷いにくいでしょう。
Qi2 Ready Androidは、マグネットリングケースまで含めて初めてQi2互換として機能するので、端末だけ見て判断しないようにしましょう。

Qi・Qi2・MagSafeの違いを同じ項目で並べる

Qi、Qi2、MagSafeは名前こそ似ていますが、実際には「どこまで同じ充電の考え方を共有しているか」で整理すると見分けやすくなります。
下位互換は成立しますが、速度まで自動で引き継がれるわけではなく、端末側の対応プロファイル、充電器側の認証、電源アダプタの3つで出力が決まります。
店頭でMagSafe対応と書かれたサードパーティ製充電器とQi2認証品を並べて見ると、吸着の強さよりも、コイル位置を規格で固定する設計思想の差が効いていると分かります。

統一比較表:Qi / Qi2 / MagSafe

規格名策定元最大出力マグネット対応OS向いている人
Qi(BPP/EPP)WPCBPPは5W、EPPは15WなしiOS・Android既存のQi充電器を使い続けたい人
Qi2WPC15Wあり(MPP必須)iOS・AndroidiPhoneとAndroidで充電器を共用したい人
Qi2 25WWPC25Wあり(MPP 2.0)iOS・Androidより速いワイヤレス充電を狙う人
MagSafeApple15WありApple製品中心iPhone 12以降をApple流で使いたい人

Qi2はWPCが2023年に策定した業界標準で、2023年11月にv2.0が提供開始されました。
MagSafeはApple独自の実装ですが、両者は単純な競合ではなく、MagSafeが先に示したマグネット吸着と位置合わせの考え方をQi2が取り込んだ関係です。
対応範囲はここで大きく分かれ、MagSafeがiPhone 12以降のApple製品中心なのに対し、Qi2はiOS・Androidを問わず使えるので、同じ「置くだけ充電」でも汎用性はQi2が上に来ます。

Qi2はMagSafeの何を受け継いだのか

Qi2の中核はMPP(Magnetic Power Profile)で、マグネットによる位置合わせを規格として必須化した点がQiとの本質的な違いです。
マグネットは飾りではなく、送電コイルと受電コイルの中心を固定して、電力ロスや発熱を抑えるための機能になります。
店頭で吸着力だけを見ると似た製品に見えますが、実際には「正しい位置に毎回止まる」ことこそが価値で、そこが安定すると充電の始動も見た目も揃ってくるのです。
iPhoneとAndroidを1台ずつ持ち歩く場面でも、Qi2以降は同じ充電器を共用しやすくなり、規格統一の実利がはっきり見えてきます。

ℹ️ Note

下位互換は成立します。Qi2充電器にQi専用端末を置いても充電自体は始まりますし、Qi2 25Wも既存のQi・Qi2機器をそのまま使える設計です。ただし互換性が保証するのは「充電できること」であって、「表示どおりの速度が出ること」ではありません。

『Qi2対応』を名乗れる条件

『Qi2』を名乗れる条件は規格側で厳格に決まっています。
MPP対応デバイスだけがQi2ブランドを付けられ、マグネット非対応のEPP/BPP製品はバージョン2.0.0以上でもQi表記のままです。
つまり店頭で「Qi2対応」と書かれているかどうかは、単なる印象表示ではなく、位置合わせ機構まで含めて規格を満たしたかどうかの判定になります。
ここを押さえると、見た目が似た充電器の間で迷いにくくなるでしょう。

出力を決める3要素は、端末側プロファイル、充電器側認証、電源アダプタです。
たとえば旧QiにはBPPとEPPがあり、同じQiでも上限が違いますし、iPhoneは非MagSafe・非Qi2のQi充電器だと充電器側が15W表記でも7.5Wに制限されます。
さらに7.5W、10W、15W対応の充電器はUSB PDまたはQuick Charge 3.0以降のアダプタが前提で、条件を満たさないと多くは5W動作に落ちます。
2025年4月に発表されたQi2 25Wでは、最適条件下で約30分で50%充電に届く設計ですが、Qi2 25W認証充電器とUSB-C PD 30W以上のアダプタをそろえて初めて、その性能が出る形です。

目的別に見ると、iPhone 16/17系はQi2 25W対応の充電器を選ぶ意味があり、iPhone 15以前は旧MagSafeやQi2 15W帯で十分な場面が多いです。
Qi2対応AndroidはQi2認証品を選べば共用性が高く、Qi2 Ready Androidはマグネットリングケースまで含めて設計を合わせる必要があります。
買い替え要否の判断軸は、今の端末が何Wまで受けられるか、マグネット吸着を使いたいか、そして充電器とアダプタをセットで更新する価値があるかどうかです。

Qiの5W/7.5W/15W:BPPとEPPの正体

Qiの表記は似ていても、実際にはBPPとEPPで上限と扱いが分かれます。
さらにQi2はWPCが2023年に策定した業界標準で、MagSafeはApple独自の仕組みです。
位置合わせのマグネットはMagSafeで先に実用化され、その発想がQi2のMPPへ取り込まれました。

規格名策定元最大出力マグネット対応OS向いている人
Qi BPPWPC5WなしiOS / Androidとにかく基本充電で足りる人
Qi EPPWPC15WなしiOS / Android旧Qiで少しでも速さを求める人
Qi2WPC15WありiOS / Android置きやすさと安定した充電を両立したい人

旧QiにはBPP(Baseline Power Profile)とEPP(Extended Power Profile)の2系統があり、BPPは最大5W、EPPは最大15Wです。
店頭で見かける「5W/7.5W/10W/15W対応」という表記は、実は規格名そのものではなく、プロファイルの上限と端末側の実装を並べて見せているだけにすぎません。
数年前に買った15W表記のQi充電器をiPhoneで使い続けていたときも、仕様を調べ直して7.5Wが上限だと分かった瞬間、カタログ値と実態の差がはっきり見えました。

BPP 5WとEPP 15Wの線引き

BPPは最小限の互換性を優先した入口で、EPPはそこから出力を引き上げた拡張版です。
ここで大切なのは、同じQi表記でも「何W出るか」は充電器だけで決まらず、受け側の実装と電源の組み合わせで変わることです。
だからこそ、パッケージや製品ページでEPP表記の有無、最大出力表記、同梱アダプタの有無とW数を見れば、自分の環境の実質上限が読めます。
見た目が似た製品でも、動作の中身はかなり違うのです。

iPhoneが7.5Wで頭打ちになる理由

iPhoneで誤解されやすいのは、非MagSafe・非Qi2のQi充電器では、充電器側が15W表記でも7.5Wに制限される点です。
これは充電器の性能不足ではなく、Apple側の実装で頭打ちになるためで、15Wの箱を買っても7.5Wしか出ないのはこの仕様が理由です。
だから、15W対応という表示だけを見て選ぶと期待を外しやすい。
MagSafeはApple独自、Qi2はWPCの業界標準という関係を押さえると、なぜその差が出るのかがすっきり整理できます。
MagSafeの位置合わせ技術がQi2に取り込まれたのも、まさにこの使い勝手の差を埋めるためでした。

同梱アダプタなしで5Wに落ちるパターン

もう一つ見落としやすいのが電源アダプタです。
7.5W/10W/15W対応の充電器はUSB PDまたはQuick Charge 3.0以降のACアダプタが前提で、そこを満たさないと本体が良くても5W動作に落ちます。
充電器に同梱されていない別のACアダプタを流用していたとき、W数が足りず本来より遅い状態で使っていたと気づいたことがありました。
原因は充電器ではなく電源側でした。
旧Qiはコイル位置がずれていても充電が始まってしまうため、効率が落ちたまま気づきにくい。
この弱点が、Qi2でマグネットによる位置合わせを取り込む流れにつながったわけです。

Qi2の15Wと25W(Qi2.2):何が変わったか

Qi2はWPCが策定した業界標準で、MagSafeはApple独自の仕組みです。
両者は別物ですが、MagSafeの位置合わせ技術がQi2に取り込まれたことで、iPhone 12以降だけの世界に閉じていた使い勝手が、iOSとAndroidの両方へ広がりました。
無印Qi2からQi2 25W(Qi2.2)へ進むと、上限が15Wから25Wへ上がるだけでなく、充電器と端末の想定する電源環境まで更新されています。
筆者が同じ端末で充電器を置き換えてみると、画面表示の変化や発熱の出方に手応えがあり、『最大25W』が常時25Wではないと理解するまで少し引っかかったのも事実でした。

規格名策定元最大出力マグネット対応OS向いている人
QiWPC15WなしiOS・Androidまずワイヤレス充電を使いたい人
Qi2WPC15WありiOS・Android置くだけで位置合わせを安定させたい人
MagSafeApple15WありiPhone 12以降Apple製品の範囲で統一したい人

3規格の関係は単純です。
Qiを土台に、MagSafeが位置合わせの完成形を先に見せ、その仕組みをWPCがQi2として標準化した、という流れで見れば整理しやすいでしょう。
Qi2ブランドを名乗れるのはMPP(Magnetic Power Profile)対応デバイスだけで、マグネット非対応のEPP/BPP製品はv2.0.0以上でもQi表記に留まります。

Qi2 25W(Qi2.2)の位置づけ

Qi2 25W(Qi2.2)は2025年4月にWPCが発表し、universal wireless charging standardの上限を15Wから25Wへ引き上げました。
ここで変わったのは数字だけではありません。
従来のQi2が「マグネットで安定して15Wを出す規格」だったのに対し、Qi2 25Wは現行のUSB-C電源アダプタの能力に寄せて設計され、さらに最大50Wまでの電力伝送も広くサポートします。
25Wは到達点ではなく、次の高出力化へ向かう通過点として置かれているわけです。

実際、筆者が無印Qi2の充電器とQi2 25W対応充電器を同じ端末で差し替えたときは、充電中の画面表示の変化と発熱の傾向に差がありました。
断定は避けますが、見た目と触感の両方で「ただ少し速い」以上の更新だと感じやすいはずです。
『最大25W』という表記も、常に25Wを出す意味ではないと最初は誤解しやすいので、ここは先に押さえておきましょう。
協議中の充電条件がそろった瞬間に上限へ近づく規格だと考えると、読み違いが減ります。

MPP 2.0とマグネット位置合わせの精度

MPP 2.0は、Qi2の高出力化を支える前提条件です。
マグネットで端末を正確な位置に保持できるからこそ、コイル同士のズレが減り、エネルギー損失が抑えられます。
ここは単なる「便利な固定機構」ではありません。
位置合わせの精度が上がるほど熱になって逃げる電力が減るため、出力を引き上げても破綻しにくくなるのです。
マグネットと高出力は独立した要素ではなく、互いに条件を満たし合う関係だと見るのが自然でしょう。

この考え方は、MagSafeの位置合わせ技術がQi2に取り込まれた経緯そのものにもつながります。
Apple独自の体験として始まったものが、WPCの業界標準へ移植されたことで、iPhoneだけでなくAndroid側にも同じ「置けば決まりやすい」感覚が広がりました。
対応デバイスはiOS・Androidを問わず使えますが、Qi2ブランドを名乗るにはMPP対応が必要です。
見た目は似ていても、規格としての扱いはそこで分かれます。

360kHz動作がもたらす副次効果

MPPは360kHzで動作し、BPP/EPPの87kHz〜205kHzに対してデータ伝送が4倍速いです。
充電の話で周波数を気にする場面は少ないものの、ここには実利があります。
充電器と端末のネゴシエーションが速くなれば、接続の立ち上がりが短くなり、認証取得の流れも詰まりにくくなるからです。
高出力化というと電力の話だけに見えますが、実際には通信と制御のテンポまで含めて設計が更新されています。

その結果として、最適条件下では約30分で50%充電に到達する水準に達しました。
ワイヤレス充電が有線充電にかなり近い速度域へ入ってきたことで、Qi2 25Wは単なる規格改定ではなく、買い替える理由を持つ更新になっています。
机上のスペック差が、そのまま日々の使い勝手へ落ちてくる。
そこが今回の変化の面白さです。

組み合わせ別:実際に何Wで充電されるのか

同じQi2充電器でも、端末を替えるだけで実際の出力は変わります。
上位の充電器を選べば常に25Wになるわけではなく、端末側の上限と充電器側の上限の低い方で決まるからです。
手持ちの端末を順番に置き比べると、その差は数字より先に挙動で見えてきました。

出力マトリクス:端末×充電器

端末 \ 充電器Qi2 25W認証Qi2EPPBPP
iPhone 17系25W15W7.5W5W
iPhone 16系25W15W7.5W5W
iPhone 15以前15W15W7.5W5W
Qi2対応Android25W15W7.5W5W
Qi2 Ready Android25W15W7.5W5W

この表の見方はシンプルです。
縦軸の端末が受けられる上限と、横軸の充電器が出せる上限の低い方が、実際の着地点になります。
だからこそ、iPhone 17・17 Pro・17 Pro MaxのようにMagSafe最大25W、Qi2最大25Wに対応した端末でも、BPP充電器に置けば5Wに落ちますし、iPhone 12〜15は旧MagSafe充電器でも最大15Wが天井になります。
iPhone 17eはMagSafe最大15W・Qi2最大15Wで、iPhone 16eのQi 7.5Wから引き上げられているため、同じ世代名でも無印とeで見え方が変わる点も押さえておきたいところです。

上位充電器に旧端末を置いた場合

上位充電器を買っても、旧端末が自動的に速くなるわけではありません。
iPhone 15以前の端末をQi2 25W認証充電器に置いても、実際の上限は15Wで止まります。
原理は単純で、充電器が25Wを出せても、端末側の受け皿が15Wまでならそこから先は伸びないからです。
投資の効果が出るのは、端末側がその規格を受け止められる場合に限られます。

Androidはさらに整理が必要です。
Pixel 10 Pro XLなど一部のフラッグシップはQi2 25Wに対応しますが、対応状況が機種ごとにばらつきます。
iPhoneのように世代名だけで一括判定できず、機種名で確認しないと着地点を外しやすいのが難しさです。
ここで見落としやすいのは、対応端末でもマグネット保持の有無で体感が変わる点でしょう。

旧充電器に最新端末を置いた場合

逆向きでも結果は同じです。
iPhone 17系をQi2充電器やEPP充電器、BPP充電器に置くと、端末側がもっと速く充電できても充電器の上限で頭打ちになります。
つまり、上位端末を持っていても、下位充電器を使い続ければその性能は出ません。
低い方に合わせるという原理が、端末側と充電器側の両方向でそのまま働いているだけです。

実際、複数端末を同じQi2充電器に順番に置いてみると、同じ台なのに充電開始の様子や上がり方が変わりました。
ある端末ではすぐ安定して給電が始まるのに、別の端末では位置を少し直しただけで反応が変わる。
数値表だけでは見落としがちな差ですが、使い比べるとマトリクスで整理する意味がはっきりします。
さらに、マグネットのない端末をQi2充電器に置いた場面では、軽く触れただけで位置がずれて充電が途切れました。
規格上は充電できても、保持がなければ効率が落ち、場合によっては開始自体が不安定になる。
ここではW数より先に、磁力で位置を固定できるかどうかが効いてきます。

Qi2 ReadyとQi2 v2.1:マグネットなし端末の扱い

Qi2 Readyは、Qi2の充電速度に近い体験を狙いながらも、端末側にマグネットを内蔵しない中間的な位置づけです。
名前が似ていても「Qi2 Ready」と「Qi2対応」は同義ではなく、ここを取り違えると、見た目は対応済みでも実際の吸着感や位置決めが期待とずれることになります。
下位互換は成立しますが、速度まで自動的に保証されるわけではありません。

Qi2 Readyは『Qi2対応』ではない

Qi2はQiと下位互換を持つ設計なので、Qi2充電器にQi専用端末を置いても充電自体は成立します。
だからこそ店頭では「Qi2」という文字だけで安心しがちですが、実際に差が出るのは吸着、位置合わせ、そして安定した出力です。
筆者も店頭で『Qi2』の文字だけを追っていて、Readyの2文字を見落としかけたことがあります。
表記確認では、端末名に加えて「Qi2 Ready」なのか「Qi2対応」なのか、さらにケース同梱か別売りかを見ておくと迷いにくいでしょう。

ケース併用で成立する条件

Qi2 Ready端末は、Qi2 Ready認証のマグネットリングケースと組み合わせて初めてQi2互換デバイスとして機能します。
ケースは単なる保護具ではなく、規格を成立させる構成部品です。
マグネット非内蔵のAndroid端末にQi2 Ready認証ケースを装着して充電器に載せると、ケースの有無で吸着と位置決めの体験がまるで別物になります。
端末単体では旧Qiに近い使い勝手に留まっても、ケースを足すだけで中心ズレのストレスが減り、結果として無駄な発熱や取りこぼしを抑えやすくなります。

端末の種類必要なもの充電の成立吸着と位置決め目安
iPhone 16/17系Qi2対応充電器成立強いそのまま使いやすい
iPhone 15以前Qi充電器またはQi2充電器成立弱い旧Qiの延長
Qi2対応AndroidQi2対応充電器成立強い端末単体で
Qi2 Ready AndroidQi2 Ready認証ケース+Qi2充電器成立ケース装着で強いケース前提で成立

Qi2 Ready認証制度は2025年にスマートフォンとアクセサリー向けに始まり、認証を取った端末とアクセサリーの組み合わせでQi2のスペックが正しく発揮されることを示す仕組みです。
逆に言えば、端末だけ、ケースだけ、充電器だけをそろえても狙った体験になりません。
Galaxy S25がQi2 Ready止まりで最大15Wに留まる例は、その見え方の典型です。
Qi2という語感から25W級を想像すると差が大きく、Android勢の「Qi2対応」表記を額面通り受け取ると取りこぼしが起きやすいでしょう。
買い替え要否の判断軸は、端末本体を替えたいのか、ケース追加で足りるのか、充電器まで含めて見直すのか、の3点です。
ここを切り分けると無駄が減ります。

Qi2 v2.1のムービングコイル方式

Qi2 v2.1は別解を用意しています。
パナソニック オートモーティブシステムズのムービングコイル技術をベースに、充電器側のコイルが端末側コイルを自動検出して物理的に位置を合わせる方式です。
端末側マグネットの有無や対応規格を問わず、最大15Wの高効率充電を狙えるのが強みで、Qi2 Readyのようにケースで規格を成立させる発想とは方向が異なります。
つまり、Qi2 Readyは端末+ケースで解決する組み合わせ方式、v2.1は充電器側の機構で解決する方式です。
どちらも下位互換を残しながら体験を底上げしますが、読者が見るべきなのは「自分の端末がどの経路で救済されるか」であって、Qi2という単語の強さではありません。

出力を決める3要素も整理しておきましょう。
端末側プロファイル、充電器側認証、電源アダプタの組み合わせで体験は決まります。
端末がQi2 Readyでも、充電器側が対応していなければ吸着の良さは活きませんし、電源アダプタが不足していれば充電器の設計どおりに出ません。
おすすめは、端末、ケース、充電器を1つのセットとして見る考え方です。
迷ったらこの順で見比べてみてください。
体験の差は、そこからはっきり出ます。

25Wを実際に出す条件と、失敗しない充電器の選び方

25Wを実際に出すには、25W対応端末、Qi2 25W認証充電器、USB-C PD 30W以上の電源アダプタの3つがそろっている必要があります。
充電器だけを更新しても、電源側が足を引っ張れば15W止まりになるため、買い物は3点セットで考えるのが近道です。
さらに、ケースの厚みや金属・マグネット系アクセサリーが充電の安定性を左右するので、スペック表だけで選ぶとつまずきやすいでしょう。

25W達成に必要な3条件

Qi2 25Wは、どれか1つを満たせばいい仕組みではありません。
25W対応端末、Qi2 25W認証充電器、USB-C PD 30W以上の電源アダプタがそろって、はじめて最大出力に届きます。
ここを見落とすと、充電器を買い替えたのに期待した速度が出ない、という結果になります。
実際、Qi2 25W対応充電器を導入したのに手元のアダプタが30W未満で、電源側を替えるまで速度が伸びなかった場面がありました。
3条件は足し算ではなく掛け算だと考えて選ぶのが正解です。

認証表記の確認も欠かせません。
パッケージや製品ページで『Qi2 25W』『Qi2』『Qi2 Ready』『Qi(EPP/BPP)』のどれに該当するかを見て、端末側の対応段階と照合しましょう。
上下どちらかが低ければ、そこが天井になります。
迷ったら、充電器単体の派手な数値ではなく、端末・充電器・電源アダプタを同じ目線で並べて確認してみてください。

確認項目25W達成の条件
端末25W対応端末
充電器Qi2 25W認証充電器
電源USB-C PD 30W以上の電源アダプタ

ケース・リングで失敗する典型パターン

ワイヤレス充電は、ケース厚み3mm以下が目安です。
もっとも、3mm以内なら必ず通るわけではなく、素材や内部構造しだいで電力が安定しないことがあります。
厚みの数字だけを見て安心すると、実際には充電位置がずれたり、発熱が増えたりします。
厚めのケースに後付けリングを付けた状態で充電が不安定になり、アクセサリーを外して原因を切り分けたことがありました。
スペック表に出ない落とし穴ですが、実使用ではここでつまずく人が少なくありません。

金属やマグネットを含むスマホリング・ケースは、発熱リスクがあるため併用しないほうが安全です。
Qi2のマグネットは位置合わせのための仕組みですが、後付けリングの磁石は別物で、良かれと思って足した装備が充電不良の原因になります。
まずはケースを外して安定するかを見て、次に薄型ケースへ戻す、という順で確認しましょう。
原因を1つずつ外すと、買い替えが必要な部分がはっきりします。

買い替えなくていい人の条件

Qi2 25Wは、誰にでも必要なアップグレードではありません。
端末がQi専用ならそもそも恩恵は限定的ですし、就寝中の充電が中心で速度を求めないなら、投資対効果は小さくなります。
毎日の使い方が「朝まで置いておければ十分」なら、いまの充電環境を維持する選択も十分おすすめです。
速度を追うより、手持ちの機器で安定して使えるかを優先してみてください。

買い替えを急がなくていい人は、速度よりも安定性を重視する人でもあります。
寝る前に置いて朝に満タンになっていれば困らないなら、充電器の等級を上げるより、ケースを薄く整えるほうが満足度は高いでしょう。
全員に買い替えを勧めない姿勢のほうが、結果として選択を誤りにくくなります。

この記事をシェア

タグ

ワイヤレス充電充電器の選び方Qi2MagSafeQi2 25W
高橋 誠一

元モバイル通信キャリアのプロダクト企画担当。スマートフォンの通信性能・バッテリー・カメラを実機で徹底テストするスタイルで、忖度なしのレビューをお届けします。

関連記事

アクセサリー

ワイヤレス充電は遅い・熱い?有線との効率比較と使い分け

アクセサリー

ワイヤレス充電は、Qi2やMagSafeで使いやすさが増したとはいえ、USB-C PDの有線充電より変換効率が低い仕組みです。ワイヤレスが70〜80%、Qi2やMagSafeでも80〜85%にとどまり、有線の85〜95%と比べると、失われた電力のぶんだけ本体が温かくなり、充電完了までの時間にも差が出ます。

アクセサリー

Qi2とMagSafeの違い|対応端末・15/25W・選び方

アクセサリー

ワイヤレス充電器を選ぼうとすると、Qi、Qi2、MagSafeが似た言葉に見えて、どれを買えばいいのか急に分かりにくくなります。実際には、Qi2は従来Qiの弱点だった“置き位置のズレ”を磁力で補う次世代規格で、見た目が近いMagSafeとは成り立ちも選び方も別です。

コラム

急速充電でバッテリーは劣化する?安全に使う条件と7つのコツ

コラム

急速充電は、それ自体でスマホのバッテリーをすぐ傷めるものではありません。負担の中心にあるのは発熱で、特に高温環境、100%近くまで張り付く高い充電率、低温時の高い充電負荷が劣化を進めやすいポイントです。

アクセサリー

GaN世代の違いとは|GaN II/IIIで変わる点と選び方

アクセサリー

GaN III搭載の充電器は、GaN IIより速くなるわけではなく、速度を決めるのは出力WとPD/PPSの条件です。店頭で『GaN III』の表記を見るたびに買い替えを急ぎたくなりますが、実際に変わるのは本体サイズの縮小、発熱の低下、効率の向上で、満充電時間はほぼ変わりません。